透明なパレットに何色もの色を重ねて
約束はしたものの、席に戻ると相変わらず
望月くんは机に伏せていた。

最初こそ、みんな望月くんに興味を持って色々と聞いたりしていたけれど、
誰に何を聞かれても答えない彼にみんな愛想をつかしてしまった。

すごいな一人でも平気だなんて。

私はそれができなくて、
したくもしないことをしようとしてる。

きっと望月くんは教えてくれるはずない。

でもやらなきゃ私はまた一人ぼっちに
なってしまう。

小さく深呼吸をして、覚悟を決めた。

「も、望月くん。あの……」

肩をトントンと叩き、気だるげに私の方を向いた望月くん。
表情からは不機嫌さが伺える。

「あの……」

「……何?」

聞かなきゃ。
聞かなきゃいけない。

「……れ、連絡先教えてくれない?転入してきたばかりでわからないこともあるだろうし
と、隣だから教えられることがあれば教えられるかなと」

心臓ばバクバクしてる。
耳にはコソコソと話す女の子たちの声も
聞こえてきた。
怖くて顔をあげられない。


「……いらない」

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