透明なパレットに何色もの色を重ねて
「……まだいるのに」

最悪。教室の鍵は閉まっていた。
私がいないこと知っているのに誰も知らないふりをしたんだ。

トボトボと職員室へと向かい、
教室の鍵を借りてカバンを取りに行き、
家に帰ることにした。

もう高校やめようかな。
こんな気持ちのまま行っても辛いし、
楽しくない。

学校を出てからもずっとそんな気持ちの
ままモヤモヤとしていた。

どこに行っても私は、あの子達のようにはなれないのかな。

目の前を歩く二人組の女の子。
楽しそうに話しながらニコニコと笑っている。

私だってあんな風になりたかった。
高校に入ればなれると思っていた。

学校を出て坂を下るとすぐにある
横断歩道。


ここは車の通りも多いし、大型車も走る。
考え事をしていては、事故に遭いかねないととりあえず、今は何も考えないようにしなければと言い聞かせた。


でも、気がついてしまった。
私より少し前で信号待ちをする女の子達の
隣に立つ望月くんの姿に。
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