透明なパレットに何色もの色を重ねて

気づかれたらまた嫌な思いをさせるかな。

でもそんな気持ちよりも先に体が動いた。
望月くんの足がゆっくりと車道へと進んでいるのが見えたから。

カバンを放り投げ、全力で彼の元へと走る。

お願い、どうか間に合って。



「望月くん!」

大声で彼の名前を叫んで力強く彼の腕を掴んで引っ張る。

間一髪、勢いよく走ってくる車に轢かれる手前でなんとか二人その場で尻餅をついた。

「よかった」

隣にいた二人の女の子達は驚いていたけれど、話をしながら青信号になった横断歩道を
渡っていった。

「……なんで助けたんだ?」

望月くんは、私を見ずにそう冷たい声で告げた。

「助けるに決まってるじゃない。目の前で飛び出しそうな人がいたら助けるよ」

私がそう言うと、彼はそっとその場に立ち上がり、私をキッと睨みつけた。
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