透明なパレットに何色もの色を重ねて
死にたいと思ったことはある。
何度も、何度も。

一度だけ本気でそれを実行しようとしたこともある。

でも、できなかった。


お母さんがそれを見つけて大泣きした。
お父さんが号泣して私を叩いて、
そのあと、きつくきつく抱きしめた。

私を愛してくれている人がいる。


だからどんなに辛くてもそれだけは選べないとあの日心に誓った。



「……変なやつ。でも、響いた。 胸に」


「よかった。あっでも失礼なこと言っちゃったよね。望月くんの連絡先聞きたくないのになんて」


興奮して言った言葉があまりにも
失礼なことだと冷静になってから気づいた。


反省している私とは裏腹に、
望月くんはクスクスと声を上げていて、
あまりにも驚いて彼の顔を見上げると
初めて笑っていた。


「あんた、面白いな。久しぶりに笑ったわ」


彼の言葉に私も久しぶりに頬が緩んだ。
< 16 / 24 >

この作品をシェア

pagetop