透明なパレットに何色もの色を重ねて
「本当にシロは役立たずよね。私たちはこんなに心配してあげてるのに、自分は友達のために何かしようとも思わないなんて冷たい」

貴美枝の言葉にすごく腹が立ってきた。
何が心配だ。
私のことなんてこれっぽっちも心配なんて
してないくせに。

私が口を開かないことをいいことに貴美枝と
良美は言いたい放題私の悪口を言う。

「本当よね。貴美枝が一人ぼっちだったシロをかわいそうに思って声をかけてあげたって言うのに。グループラインだって入れてあげたのに感謝の気持ちがなさすぎる」

良美なんて貴美枝がいないと何もできないくせに。ムカムカ、ムカムカと苛立ちが募る。

「……はよ、彩葉」

今にも殴りかかってしまってそうなくらい
限界を感じた私が我に返ったのは、望月くんの声だった。

「お、おはよう」

「顔、ヤバイぞ。眉間にシワよってる」

そう言って、私の眉間を人差し指で突っついた望月くん。
私ですらその動作に固まってしまったのだから貴美枝と良美が目を丸くして驚いたことは
いうまでもないことだった。
< 23 / 24 >

この作品をシェア

pagetop