透明なパレットに何色もの色を重ねて
「えっ、今の何?ど、どういうことなのよ、シロ、説明しなさいよ」

あまりにも驚きすぎて貴美枝の鼻息が荒くなっている。
いやいや、私もビックリしてるから。

「どうも何も眉間にシワが寄ってたって教えただけだけど。っていうか外まで聞こえる大きな声で人の悪口言うの聞いてて気分悪い。席、戻れよ。ここ、俺の席だから」

いつものように冷たい言い方だけど、
すごく優しい言葉。
望月くんが話すこと自体、珍しいとまた教室の中は騒つく。

「ま、待って。私たち悪口なんて言ってないよ。シロのことを心配して……」

「役立たずのどこが悪口じゃないの?もういいから早く退いて」

奥歯を噛みしめるように貴美枝と良美が
私を睨みつけながら二人でコソコソと話しながら席へと戻って行く。

「あ、ありがとう望月くん」

「あっ、眉間のしわ取れたな。よかった」

そう言って、自分の席につく望月くん。
これが急接近?!
昨日まで私のことをうっとおしそうに
あしらっていた望月くんの変貌ぶりに
驚きが隠せなかった。
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