透明なパレットに何色もの色を重ねて
「望月 真澄(もちづき ますみ)です。よろしくお願いします」

転入生は貴美枝が言っていたように、
イケメンだった。

すらっと高い身長は、百七十後半くらいだろうか。目はキリッとした奥二重。

鼻筋も通っていて、今流行りの塩顔といったところ。

貴美枝のほうをチラッと見ると、
案の定キラキラと目を輝かせていた。


それにしても確かにイケメンだけれど、
なんだかとても冷たそうなイメージ。


人を外見で判断するのは嫌だと普段から思っているけれど、
私が願っていた話しやすい人のイメージではないな。


「望月の隣は、白石(しらいし)の横が空いてるからそこな、おおっ、お前いい席だな。窓際の一番後ろだぞ。よかったなぁ」


そう言ってポンポンと望月くんの背中を叩く先生。


うちの担任のポン太先生。
もとい大井(おおい)先生は、背が小さくて、お腹が出ている。
それが狸の置物にそっくりなので、
ポン太先生と呼ばれている。


大らかであまり怒らない先生なので、みんなからは好かれているし、割と大らかなペースに巻き込まれがちなんだけれど、


望月くんはニコニコと話すそんなポン太先生でさえスルーした。


そして、黙々とこちらに向かってきて、
机にドンっと大きな音を立ててカバンを置くと席に着いた。
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