透明なパレットに何色もの色を重ねて
「あ、あの私、白石です。隣の席なので、何か困ったこととか分からないことがあったら遠慮なく聞いてね」

話しかけてみると、意外と話しやすいかもしれない。


そう思って、彼に話しかけてみたけれど、
無視された。
やっぱり話しにくい。


それでもやっぱり隣の席だしと教科書を見せていたら、それをチラチラと貴美枝が何度も確認してきた。



「ねえ、シロ。席替わってよ」


一時間目の休み時間。


珍しく私の席までやってきた貴美枝と良美。
普段は私が行かなければ来てくれることなんて絶対ないのに。


「えっ、席を替わる?」


「そう。望月くんの隣がいいの。私」


小声でそう言うと、
そのまま望月くんに視線をやる貴美枝。
望月くんは机に伏せていた。


「ちょっと聞いてるの?シロ」


「あっ、ごめん。席だよね?でも替わるのは良くないんじゃないかな?」


今日、いきなり席を替えてほしいなんて、
望月くんに失礼だし、それに私もこの席
気に入ってるんだけどな。


「目が悪くて見えないとか言えばいいでしょ?」


「でも……」


やっぱりこの席は替わりたくないな。
渋る私をまた睨む貴美枝、それに同調する良美。

結局それからすぐにチャイムが鳴ったので二人は自分の席に戻っていった。
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