年下ワンコ幼なじみが可愛すぎてツラいです。
……すごい気まずい。恥ずかしい。
めちゃくちゃカッコ悪かった自信がある。
「あはは~……ご、ごめんね、練習の邪魔してしまって……」
「いや、大丈夫だよ。それよりも、海美ちゃんに怪我はない?」
空はスっとピアノ椅子から立ち上がり、こちらへ向かってきた。
「私は大丈夫だよ。やばい、ドア壊しちゃったかな……」
「多分大丈夫……」
空は軽々と扉を持ち上げ、棧にはめた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
空は少し困ったような顔をしている。
「どうしてこんなところで練習してるの?」
「えっと……海美ちゃんは、僕のピアノ聞いて下手だと思わなかった?」
質問に答えていない
「いやいや、すごく上手だったよ!」
「かっこ悪い話だけど……海美ちゃんには、ちゃんと完成したのを聴いて欲しいんだ。家で練習しても、家が隣だからモタモタ練習してるのが聞こえるかと思って」
なんだそんなことか、と喉元まで出かかったが、そこは彼なりのプライドがあるのだろう。
「一生懸命やってる人を馬鹿になんてしないよ?」
「うん……海美ちゃんはそんなことする人じゃないって分かってるんだけど……」
空のケモ耳はしゅん、と垂れている。
「とにかく、私は空のピアノが上手でも下手でも、空が弾いてるから好きなの!だから、家で練習しても良いんだよ……?
そういうことで、合唱コンまで練習頑張ってね!」
「うん……ありがと」
空のケモ耳は垂れたままだが、尻尾はゆらゆらと揺れている。
キーーンコーーンカーーンコーーン
ちょうど昼休み終了5分前のチャイムがなり始めた。
「あ、やばい!じゃあね、空!授業に遅れないようにね!」
「はーい、じゃあねーー」
私は空と手を振りあって、その場を後にした。