年下ワンコ幼なじみが可愛すぎてツラいです。
「え、今日空くん来なかったの?」
有紗に今朝のことを話すと、「まあ、気まずいかぁ」とか言って勝手に納得していた。
「でも、なんと言うか……視線を感じる……気がしなくもない、というか……」
「だいぶぼやかしたね」
これは本当の話だ。1人で登校しているとき、後ろの曲がり角とか、民家の塀の間からとか。いつもはしない違和感がある。何度か振り返ったが、その瞬間は違和感が無くなるから、多分誰かに見られてるんじゃないかと……
「海美、ついに自意識過剰……」
「違うから!本当だから!!!」
白い目を向けてくる有紗に頬を膨らませた。
「ごめんごめん、海美はそんなつもりで言った訳じゃないってちゃんと分かってるから。とりあえず、私と一緒に行動するようにしようか?」
「~~~っ。申し訳なさすぎるけど、本当に有難いです……。」
「いいって。どうせ今日塾だし、海美の家に近いから、送ってくよ?」
「とりあえず、途中まででお願いしても良い?まだほんとに見られてるって決まった訳じゃないから……」
「おっけー」
……放課後。
1時間だけ合唱コンの練習があるので、パートごとで集まって練習しているときだった。
(また、何か見られてるような……?)
教室をぐるりと見渡しても、みんな練習のために円になっていて、誰も私を見ていない。廊下には誰もいない。
ふと、向かいの棟を見ると
誰かと目が合った。
丁度職員室前の棚やらダンボールやらが積んであるところにいるようで、ハッキリとした特徴は分からなかったが、目が合ったとたんすぐに隠れてしまったので、きっと視線の主だろう。
「海美どうした?」
隣にいた有紗が声をかけた。
「職員室前の物置のところに、誰かいた」
「え、」
「偶然かもしれないけど……そうだとしたら、同じ学校の人ってこと……?」
「海美、落ち着いて。とりあえず、私の横にいて隠れなよ。」
そう言って、向かいの棟が見えないように有紗が移動してくれた。
「有紗、、、イケメン、、、」
「そこは素直にお礼がいいかな」
「うん、ありがとう……」
2人でクスッと笑い合って、練習に集中した。