年下ワンコ幼なじみが可愛すぎてツラいです。


~~side空~~



昨日の放課後うみちゃんに無理やりキスしてしまったので、今日はさすがに朝から家まで迎えに行くのを躊躇った。でも、だからといって1人で歩かせるのは危険だからやっぱり見守る。


やっぱり、嫌われてしまったのかなぁ……


色々考えていたら、昨日のことをまた思い出して、顔に熱が集まってきた。うみちゃんの唇、柔らかくていい匂いで、甘かったなぁ…………


ブンブンと頭を横に振って、煩悩を吹き飛ばした。

「迎えには行かないけど、見守るのはいいよね!」
(ストーカーは立派な犯罪である)







いつもより5分くらい早く家を出て、電柱の陰に隠れた。少し待つと、橘家の玄関のドアが開き、うみちゃんが顔を出した。

「やっぱり、うみちゃんはかわいいなぁー」

寝不足なのだろうか、少し顔色は悪いが、いつものようにサラサラな髪とツヤツヤな唇はうみちゃんの整った顔立ちを更に引き立てている。


うみちゃんは1度僕の家へ行ったが、本人はここにいるんだから当然家にはいない。ポテポテと歩くうみちゃんの後ろ姿を確認し、気づかれないように後を追った。


彼女はたまに、何かに気づいたように後ろを振り返って確認するので、その度に僕は電柱や曲がり角などに隠れてやり過ごしていた。







…………放課後。

合唱コンの練習の前に、この間作ったクラス分のプリント冊子を取りに来い、と先生にまた捕まってしまったので、職員室へ行った。冊子があるのは、職員室前の物置きスペースの棚の上だ。


ふと、向かいの棟に目をやると、3年生の教室がほとんど全て見渡せた。1組の教室には、パートごとで円になっているのか、男子のグループが1つ、女子のグループが2つあって、それぞれ真ん中にキーボードや鍵盤ハーモニカなどが置いてある。

うみちゃんを見つけた。楽譜を持って歌っている姿も、とても綺麗だ。

僕はつい見蕩れてしまい、じっとその場から動かなかった。しかし、パッとうみちゃんと目が合った…………気がした。

なんだかバツが悪くなって、すぐに隠れてしまった。あぁ、冊子を取りに来たんだった。やっと本来の目的を思い出した僕は、急いで教室へ向かった。

< 37 / 42 >

この作品をシェア

pagetop