年下ワンコ幼なじみが可愛すぎてツラいです。
教室に着くと、まだエアコンが入っておらず、蒸し暑かった。
程なくして先生が入ってきて、朝のHRが始まった。
「今日から合唱コンの練習が始まるから、ちゃんとしろよー」
そう言って先生がHRを終わらせた。
なんと、1時間目から数学の小テスト。
文系だから、数II・Bまでしかしないけど、結構難しい……
しかし、朝の短い時間で頑張って勉強した(答えを覚えた)ので、10点満点の9点を叩き出した。
「え、やったじゃん、海美ちゃん!」
「有紗は?……10点かい!」
「だって私、数学得意だもーん」
隣の席の有紗とじゃれ合っていると、1時間目終了のチャイムが鳴った。
文系は自然と女子の方が多くなるので、隣の席が女子になる確率が高いのだ。
「有紗、2時間目なんだっけ?」
「地理だよ。一緒に行こ!」
私と有紗は偶然にも、選択科目が全て同じなので、移動教室も全て一緒に行動している。
「地理の教室は1年生と同じ棟だから……弟くんに会えるかもね!」
「だ、か、ら、弟じゃないってば!」
噂をすれば、なんとやら。
廊下でばったりと空に会ってしまった。
次は体育のようで、体操服で走っていた。
「あ、うみちゃんだー」
「空、体育頑張ってね!」
声をかけると、空は嬉しそうに微笑んで、「ありがとう」と言った。
空が通り過ぎてから、有紗がボソッと呟いた。
「なんであんた、空くんと付き合ってないの?」
「はぁ!?なんで空と?だって空は私にとって弟で……」
「いつもは弟じゃないって言うくせにー」
「もー、うるさいなー」
ほんと、有紗は何を考えているのだろうか。
有紗が変なことを言うから、授業中想像してしまった。
私と空が手を繋いで並んで歩いて、デートをしたり、笑いあったり、キスをしたり……。
いや、ムリだ、恥ずか死ぬ!(恥ずかしい+死ぬ)
思わず顔を手で覆うと、抑えていたプリントが風で飛んで、グラウンドの方へ落ちてしまった。
(あ……ま、いっか。後で取りに行こう。)
窓から外を見ると、木に引っかかったプリントが見えた。授業終了まで5分だから、きっと無事だろう、と判断した。