昔語り~狐の嫁入り~

外は雨
何故か晴れ
不思議なほどに暖かな
銀の粒が光って弾ける
降ったり止んだり繰り返し
幼心に見上げた空は
げに鮮やかな橋が映る。
色々な光りを折り込んで
ほんのまじかにたもとを下ろす。
“のぼってお出で”と言わないばかりに
それでも行けないジレンマが
せめて忘れぬ様にと懸命に
その姿を心に刻む。
“橋の向こうに何があるの?”
好奇心旺盛な子供に母は言う。
“狐の嫁入り”
不思議の国のモノ達の
とても大事な儀式の日だと。
ずっとずっと昔の話。
母は語る。
子は聞き入る。
それは雨の日
降ったり止んだり
それは“狐の嫁入り”の日。

終わり
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