シンデレラは騙されない


「うん、言って」

その当たり前感にちょっと腹が立つ。

「じゃ、私と約束して下さい」

私は凛様に小指を差し出した。

「何の約束?」

「いいから」と言って、私は無理やり凛様の小指に自分の小指を絡める。
そして、指切りげんまんの歌を聴きとれないほどの早口で歌った。

「普通、約束の案件を聞いてからの指切りげんまんだろ?
ずるいな、でも、約束しちゃったし」

そんなところが凛様の可愛いところ…

「あの…
私と凛様は別に付き合っているわけでもないし、だから、私の友達やプライベートには一切口出しや首を突っ込まないで下さい。

特に、会社関係人達には…
よろしくお願いします」

凛様は中華まんが入った袋をまたとんとんつつき出した。

「あ、これは…
横浜支店の人で、月に二回一緒に仕事をする人で、別に特に仲がいいわけでもなくて、本当に普通の友達です…」

「麻里はね…
でも、その栄楊軒の彼は、そうじゃないだろ?」



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