シンデレラは騙されない
「俺と一緒に家に帰っちゃまずいだろ?」
子供みたいと思った矢先、凛様は急に大人びた目で私を見る。
「本当に面倒くさい…
俺的には堂々と麻里とつき合いたいって思ってるけど、麻里は最後まで星矢の世話をちゃんとしたいと思ってる」
私はゆっくりと頷いた。
「でも、麻里があの家で居心地を悪くするのも嫌だし、だからしばらくは大人しくする。
今、会社に近い場所でいい物件がないか探してるんだ。
親に頼るのも嫌だし、ある程度お金がたまったらすぐに引っ越そうと思ってる。
だからさ…
家じゃあまり一緒にいれないから、たまにはこうやって一緒に帰ろう。
できれば、その時は俺の車がいいけど…」
凛様は私にあの紙袋を渡すと、私のほっぺを優しくつねる。
「麻里が他の男と話すの、最悪、めちゃくちゃ嫌だ…
特に、あの中華まんの彼はすごく気に入らない。
麻里の事、彼女にしたいってもろに態度に出てたから。
そうだ、今度、栄楊軒本店にほっかほかの中華まんを食べに行こう。
誰にも文句を言われないように、星矢も連れて」