シンデレラは騙されない


そして、当日の今、私はこのワンピースを身にまとっている。
髪をアップにまとめ真珠のピアスとお揃いのネックレスをすると、光沢のある濃紺の生地によく映えた。

私は鏡の前で大きく深呼吸をする。
とにかく、今日の目的は平塚さんにお付き合いはできないと告げる事。
私はゆっくりと目を閉じ、そして静かに息を吐きながら大きく目を開けた。

そして、凛様が待つ玄関へ歩き出す。
今日を乗り越えれば、何かが変わる事を期待して。

私が玄関へ行くと、そこには星矢君も会長も専務まで私を待っていた。

「麻里先生、可愛い~~」

星矢君の言葉に会長も専務も嬉しそうだ。

「ありがとうございます。
では、行ってまいります」

私は三人に深々と頭を下げて外へ出た。




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