シンデレラは騙されない
「あ、ありがとうございます…」
私こそ会長の綺麗な顔を見ていた。
60代の割りには皺がほとんど無い。髪もふんわりとボリュームがあって丁度いい感じの栗色に染めていた。
その前に、とても美人…
若い頃は相当綺麗だったはず…
「じゃ、今から面接を始めさせていただきます。
今回は、私の孫で、そこにいる専務の一人息子の家庭教師兼ベビーシッターを探していて、内内で募集をかけていたら、促進販売部の部長からあなたを薦められたという事でよろしかったかしら?」
「はい」
私は大きく頷いた。
「そして、住込みで1年という条件も大丈夫?」
「はい」
私は更に大きく頷いた。
「じゃ、部長からいただいたあなたの紹介文を読ませていただきます。
第一の条件である英語を話せる人というのには、あなたは中、高、とアメリカの学校を卒業しているので英語は堪能という事、あと、大学も一流で問題無し。
でも、どうしても聞きたい事があるんですが…
それは、部長の方からも、本人に確認してほしいとの事で…」