シンデレラは騙されない
凛様を好きになり始めた私の心は、急激にしぼむどころか増々膨らんでいく。
こんなダメンズ、本来なら全く興味がないはずなのに、何だか放っておけない。
「凛様は働くって言葉の意味を分かってない。
凛様がもらっているのはお給料じゃなくて、ただのお小遣いです!
働かないで、一生懸命働いて立派な稼業を持続させている会長のお母さまから、子供みたいにお小遣いをもらっているだけです!」
働かない男は嫌…
こんなにいい性格なのに…
でも、私はすぐに現実に戻った。
あ~、何て事を言ってしまったのだろう。
凛様を怒らせたり傷つけたりしたら、私の恋も仕事も全て終わってしまう。
私は、隣に座る凛様の顔を見る事ができなかった。
「……働かない男、麻里は嫌い?」
生真面目で正直過ぎる自分は恋をする資格なんてない。
だって、子猫のように傷ついて震えている凛様に、更にこんな容赦ない言葉を浴びせるんだから。
「嫌いです…
働かないで底辺の生活をしている人間は自業自得だけど、働かないくせにいい生活をしている人間は絶対に許せない」