シンデレラは騙されない


凛様にとっては、思いもよらない答えが返ってきたみたいだった。
首をすくめて天井を仰ぐ凛様は苦笑いをしている。

でも、その笑顔はたまらなくセクシーで、こんな風にたくさんの女性の心を骨抜きにしてきたんだろうななんて、そんな事をぼんやりと考えて何だか凹んだ。

凛様はしばらく考え込んで小さくため息をつくと、隣にちょこんと座る私の腰を持ち上げて、凛様の顔がちゃんと見れる位置に私を移動させた。

「麻里の質問からはちょっと脱線してるのかもしれないけど…

最悪な事は、俺がこの家に生まれ落ちた事」

私はそれは違うと思った。
思ったと同時に口が開きかけたけど、凛様の人差し指が私の口をそっと制す。

「そして、最高な事は…

この時期に、俺達が再び出会えた事…
今まで嫌で嫌でたまらなかった自分の人生に、一筋の明かりが見えた事…

それが凶と出るか吉と出るかはまた別の問題だけど…」




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