シンデレラは騙されない
私は色々な想いが混ざり合って何も言葉が出ない。
逆に言葉を出す事が怖かった。
素直なありのままの言葉が顔を出しそうで…
そして、私の視線の隅に、会長と専務の顔が映る。
二人は星矢君と違って、私と凛様の微妙な関係を知っている。
だから、私のリアクション次第で、私への二人の関わりがきっと変わってくるはず。
凛様と星矢君は、年齢は違うけれど同じ瞳で私の言葉を待っていた。
星矢君に関してはソワソワドキドキ、凛様に関しては惚れ直しただろ?みたいな自信たっぷりな顔をして。
「凛様、お久しぶりです…
凛様が帰ってきて星矢君の顔に笑顔がいっぱいになった事がすごく嬉しい。
おかえりなさい…」
凛様の顔が一瞬翳った。
ロボットみたいな私の態度に、不満そうに目を細める。
「先生、違うよ。
凛太朗の変身をどう思う?
僕は前の凛太朗の方が好きだけど、でも、これからずっと家にいてくれるって約束してくれたから、今の凛太朗も大好きなった。
でも、もう、ギターは弾かないんだって。
それはすごく嫌だけど…」