[完結] オレンジ色のカーテンに包まれて。
「いやっ……んぁ」

「お前の言ってることなんて、無視するから」

「んんっ……」

どちらのものだか分からない唾液が、私の口元から垂れてくる。

その直後に、涼くんの舌が私の口内を荒らす。

「あぅ……りょ……う…」

「可愛い」

「んっ……ぁ…」

甘いキスに意識が痺れる。

目がとろりとして、泣きそうになる。

息ができなくて、苦しいはずなのに

もっとキスしてほしいと思ってしまう。

「んんっ……りょ…ぅ……」

ぱっ──

誰もいない図書室にリップ音が響く。

「は…ぁ……」

離れた涼くんの顔は色っぽい。

私も、きっとあんな顔をしていると思う。

息が荒いのも自覚していた。

顎を伝う唾液を拭うと、立ち上がった涼くんに

無理やり、立ち上がらせられる。

そして、強く抱きしめられた。

「はぁ……ぁ……」

まだ荒い息が落ち着かない。

早く落ち着かせなきゃ。

こんな私、見せたくない。見て欲しくない。

「ごめんな。強引なの、イヤだよな」

私をもっと強く抱きしめて、涼くんはそう言った。

私は、はっとした。

いつも強引な涼くんだけど、そんなことを思ってたんだ。

気付けなかった私を、ちょっとだけ憎んだ。

「そ、そんなことないよ」

涼くんから、少しだけ距離を取る。

ニコリと笑ってから、唇を触れ合わせた。

顔を離すと、そこには驚いた顔の涼くんがあった。

「私は、強引な涼くんが好きだよ。だから、そのままでいてほしい」

すっかり落ち着いた息でそう言うと、涼くんは

さっきよりも強く私を抱きしめた。

「涼くん。く、苦しい」

「うるせー。バーカ」

あ、照れた。

可愛いなと思いながら、私はクスリと笑った。

だけど、それが悔しかったのか、

涼くんはすぐに普段の余裕を取り戻して、

「今日のイジワル、終わりだよ?」

と私の耳元でそう言った。

急に恥ずかしさが込み上げてきて、

赤くなる顔を隠すことしか出来なかった。
< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop