私は強くない
圭輔さんに、プロポーズされた夜、ベッドにも先に入った私は指にはめられた指輪を眺めていた。

「なんか、ずっとそうしてるね。嬉しい?」

お風呂から上がってきた圭輔さんが、声をかけてきた。

「だって、幸せな気分になるじゃないですか。ニヤけます」

「可愛いな、慶都って」

「え?え?そこですか?」

「だってそうだろ?あれだげ奥菜に啖呵切ったと思ったら、そんな指輪一つでニコニコしてくれるなんで、同一人物とは…」

「…や、それは思い出さないで」

笑いながら、ベッドに腰をかけた圭輔さんは真剣な顔になり

「幸せにするから、お互い内緒事は作らないでいような」

と、言いながらキスをしてくれた。
優しく触れながらのキスが、激しさを増していった。



夜中、喉が渇いて目が覚めた。圭輔さんはぐっすりと眠っていた。
ベッドの横のテーブルにある水を飲んだ私は、左手にはめてもらった指輪を見て実感していた。プロポーズされたんだと、それだけで、顔がにやけてしまう。
色々あったけど、圭輔さんと結ばれてよかった。
まだ付き合い始めて日が浅いけど、これからゆっくり進めていこう、そう思った。

圭輔さんの顔を見ながら、

「圭輔さん、ありがとう。私はあなたがいたからこそ、強くなれた。強くないなんて、言わない。ずっとそばにいてね…」

「…う、ん…」

目を開けた圭輔さんと目が合った。

「…ん?どうした?」

「ううん、何でもない。見てたの。圭輔さんを」

「何言ってんだよ。おいで」

少し離れていた私を抱き寄せ、再び眠りについた。

朝、圭輔さんの腕の中で目が覚めた私。腕からそっと抜け、朝食の準備をしようと、キッチンに向かった。
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