私は強くない
「…どこまで話しましたっけ?」

「あぁ、一回で終わろうと思ってたのに、押しが強くて、って」

「そうそう。その後なんですよ…」

美波がらビールを飲みながら、話の続きをしてくれた。
昼、会社の食堂で拓真から聞いた話をしてくれてた、美波。時間が足りず会社近くの居酒屋で、話する事になった。

美波が話を続けた。最初は、彼女がいてもいいと言ってた、その彼女は、欲が出てきたみたいで、拓真のマンションに行っては、自分の痕跡を拓真には、分からないように残していてたらしい。私に自分って存在を知らせたかったらしいけど、私も分からなかったんだけど。それ聞いてビックリ。
って、言うかマンションに入れてた事が信じられないんだけど。

…で、拓真もその彼女の腹黒さに気がつかず、居心地がよくなっていったんだろうな。若いし、自分を頼ってくれるし。そして、妊娠したと。

って、言うか私とする時は、必ず避妊してたくせに、その子とする時はしてなかったって事よね。
妊娠したって、言われて疑わなかったんだから。

「…ひどくないです?」

何それ。

美波が、言った事に私は耳を疑った。

私が、避妊しろってうるさいから、そのままさせてくれるその子事が、好きになったから、って。

女をなんだと思ってるの。

拓真に避妊を言ってたけど、私もピルを飲んでた。
相手にだけ、任せてた訳じゃない。
仕事の事もあるから、無責任な事したくなかったから。
それを…快楽だけで見てたなんて。

そして、妊娠。

しかも、それが相手のついた嘘だった。

可愛く、いいと思って女が鬱陶しくなった。

勝手。
身勝手。


私の壊された心。
元に戻りかけていた心。
もう乱されたくない。


あなたに、
同じ思いを味あわせてあげる。
プレゼンの前に、潰してあげる。
それが、私に出来るあなたへの強さ。

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