私は強くない
店を出た私は、拓真との待ち合わせ場所に向かった。

向かう間に、思う事は一つ。

「なんなのよ!こっちが文句言いたいわよ!!」

歩きながら、叫んでた。
周りの人がビックリして、こっちを振り向く。

恥ずかしい。

小走りになって、店に向かった。

会社から近くにある店だけれど、あまり目立った場所にないから、会社の人には知られていない、2人でよく行った店のドアを開けた。

『いらっしゃいませ』

「予約していた倉橋ですが」

『倉橋様ですね。お連れ様到着されて、通させていただいてます』

拓真はもうすぐ着いてるとの事。
すぐに、部屋に通してもらった。

『こちらでございます。お連れ様到着されました』

「ありがとう」

早くに着いた割には、まだ何も注文はしてなかったみたい。

「早かったんだね。注文してればよかったのに」

「いや、俺もさっき来たとこだし。注文一緒の方がいいかなって…」

話すればするほど、さっきの浜口香里を思い出す。
なんで、この2人からこんな目に合わされなきゃいけないのよ、私。

とりあえずの注文をして、込み入った話もあるので、注文した物が揃ってから、話をしようと言った。
拓真は、早く話がしたかったみたいで、私が本題になかなか入ろうとしないから、焦ってるようにも見えた。
拓真が焦れば焦るほど、冷静になっていく私。

「久しぶりだよな、ここ。いつもの二人で来てたよな。やっぱり慶都…」

遠くで話をしてるようだった。

嬉しそうに話してるけど、拓真。
ヨリを戻す気は、私にはさらさらないからね。
覚悟してよね。

傷は深いよ。

思いっきり、潰してあげるから。
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