私は強くない
明日はプレゼン。

私が出せる力は出した。
後は、明日の拓真との直接対決だけ。
佐野主任には、申し訳ないけど…

明日に向けて、今日は早めに寝よう。寝不足で迎えたくなかった、そう思っていた。

そんな事を考えながら、帰ろうと駅に向かって歩いていた。

まさか、忘れていた浜口香里に呼び止められるなんて…


「倉橋さん」

振り向いた私は、浜口香里を見て驚いた。

「また?私になんの用事があるの?」

「…話聞いていただけませんか?」

ため息が漏れる。
どうして、別れた男の為にこんなにも苦しめられなくてはいけないのか。

私は、やっぱり不幸体質なんだろうか…

「聞きくない、と言っても?」

「…聞いていただけるまで、毎日来ます」

「……はぁ」

毎日って、暇人か、と突っ込みたくなる。
明日はプレゼンなのに、こんな事に巻き込まれるなんて、最悪だ。


多分、なんだかんだと言って、私の所に来るだろう。
私は、少しなら…と近くの公園で話をする事にした。



公園のベンチに腰かけて、二人並んで座った。


「…で、待ち伏せしてまで、私に聞いて欲しい話って何?時間ないんだけど」

「…拓真さんの事なんですが、あれから口も聞いてくれ…っなくて。電話も拒否…っされててっ…うっ……」

そりゃ、拒否されるでしょ、と言いたかったけど、これ以上巻き込まれるなんて耐えられない。黙って私は話を聞いていた。

「……倉橋さんと、元サヤなん…ですかっ?」

「………」

は?
誰が誰と?
頭大丈夫か?
あの時の話で、どうやったら私が拓真とヨリを戻したって言えるのか。

「黙ってるなんて、やっぱりそうなんですか!!」

本当に頭が痛くなってきた。
…で、こんなにもどうして拓真に、この子は執着するんだろう?って考えていた。

「…聞いてますか?何が私にはないんですか!教えて欲しいんです…」

もしかして?

「…ね、浜口さん。変な事聞くけど、おなた拓真が初めての人だったの?」

「え?あ、あのっ…」

明らか動揺してる。
図星か。
それで拓真に執着してるのか…
分からないでもない、けど。

拓真なんて言って、やっちゃったんだろう。

「……セックスする時、なんて言われたの?」

元カレの浮気相手に、何を聞いてるんだろう、私。
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