私は強くない
浜口さんを入れた5人で、話し合った日から数日後、金谷君から連絡があった。

拓真が、どうも私とやり直す気でいてるらしい。私が浮気された事で、怒ってるけど、許したいと思っている。自分の事を好きだからやり直したいと思っている。と、思ってるらしい、って。金谷君から報告があった。

…どうやったら、今まで起こった出来事が、そんな風に脳内変換出来たんだろう。拓真のアタマの中が、本気で心配になってきた。

しかし、金谷君は、これをどんな気持ちで聞いてたんだろう。
いたたまれない……

ほんと、開いた口が塞がらない、ってこういう事を言うのよね。
どこまで、ポジティブなんだろう。どうやったら、私が拓真の事を好き!ってなるんだろう。
分からない。

考えるだけで、気が遠くなりそう。

金谷君の話じゃ、私が連絡すれば、飛びついてくるだろう、って。

願ったりか。


圭輔さんにも、金谷君から聞いた事を伝えた。

もちろん、めっちゃ怒ってた。
それと、私と同じ事を言ってた。
奥菜のアタマん中が分からない、って。だよね、そうだよね。


拓真も、圭輔さんの逆鱗に触れたら、仕事出来なくなるのに…
私達が付き合ってる事は知らないから、仕方ないんだけど、それ知ったらどうするんだろうか、考え方直せるのかな。

自分から、進めておきながら、どうして別れた男の事を考えないといけないのか、自分の性格を恨めしく思い始めていた。

でも、やらなきゃ、私は永遠に幸せなれないし、他のみんなも前を向けない。

「…都さん、慶都さん!」

「ん?な、なに?」

「さっきから、ずっと呼んでたんですよ?大丈夫ですか?」

「あ、うん。ごめんね。なに?」

食堂で食事をしている時、考え事をしていた私は、美波から何度も名前を呼ばれていたのに、気がついてなかったみたい。

「陽一から聞きました?」

「聞いたよ。あの話でしょ?」

「信じられないですよね!聞いてびっくりですよ」

「びっくりどころじゃないよ。ポジティブを分けてほしいわ」

美波も金谷君から、直接聞いたみたいで、信じられないの連発。
私も信じられないよ、3年も付き合ってたのに、そこ見れてなかったんだから。私の3年返してほしい、でも私も悪かったんだよね、きっと。

「今日、皆んなで集まるからね、圭輔さんの家で。金谷君には言ってあるから」

「あの子来るんですか?」

「ううん、彼女抜きで話合うよ。よろしくね」

「はーい」

作戦会議が始まった。
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