私は強くない
ケジメ
4人で、作戦会議をした数日後、私は香里に作戦を伝えた。
もちろん、びっくりしていたのは言う間でもないけど、あれから日が経ってると言うのに拓真からは、なんの連絡もないと言う。私はその事実に呆れていた。そして、ここまで酷い男だとは…

「じゃ、予定通りにね」

「…でも…」

「なに?」

「……こんな、こんな事していいんでしょうか…」

声が震えている。
まだ揺らいでいるのか、

「浜口さん、あなたがここで止めるって言うなら、止めるわ。でも、私だけでも落とし入れるわよ。許せないもの。私だけじゃなく、周りの人間巻き込んで。あなただって、ご両親には結婚の事なんて言ってたの?挨拶来たんでしょ?あなたの周りも迷惑かかるのよ?」

両親、その言葉でハッと何かに気がついた香里。
何かを言おうとしていた。

「あ、あ、あー」

嗚咽しかなかった。
私は泣きじゃくる香里を抱きしめ、大丈夫、大丈夫とその小さな背中をさすり続けた。

どれくらい時間が経ったのか、静かに顔を上げた香里の顔は覚悟したようだった。

「…わ、わっ、私、やりますっ」

「そう?大丈夫ね?はっきりさせましょう」


その後、細かい打ち合わせを香里とした。その時に、拓真がまだ両親に結婚の挨拶には来ていない、妊娠が確定したら挨拶に行くと言っていた、と。
香里自身、妊娠 の事は伏せて結婚したい人がいると、両親には言った。挨拶には近々来ると。だから、両親からまだ?とせっつかれていると。
そりゃ、親にしたらそうよね。
娘が結婚したいと言い出したのに、相手が来ないなんて。
しかも、妊娠確定したらって、どこまで腐ってるんだろう。私には結婚するから別れてくれ、妊娠したからって言ったくせに。なんなの?それって…
もしかして、今回の事がなくても私と別れたかって事?うまく理由が出来たからって、それに乗ったの?
な、なに、無性に腹が立ってきた。
私は私で、心を決めた。


「週末の金曜日の夜にやるわよ」

「はい、ちゃんとケジメをつけます」

香里の決意だった。



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