私は強くない
「…で、何があったんですか?」
私の家に着くなり、いきなり核心に入ろうとする。
お酒の準備をしようとしているのに、それすらもさせてくれない。
「飲まなきゃ話出来ないから」
と、言い訳しながら自分自身の心の準備をしていた。
せっつく美波をよそに、冷静になってきた私は、ビールを飲みながら、口を開いた。
…………
「なんですか……、それ」
聞き終わった美波は、怒りに震えていた。
あまり怒った顔なんて、見た事がなかった私はびっくりしてしまった。
「なんですか…って、だから別れたの。拓真と」
「そこじゃないですよ!理由!」
誰が聞いても、そうなるよね。
うん。
そうだよ。それが普通の反応だから。
「仕方ないじゃない、私は強いから、いらないんだって。もっと甘えてくれる人がよかったんだって…、年上だからって……、っ、あれ、なんで泣いてるんだろう。もう涙なんか枯れたかと思ってたのに……」
美波に話しながら、頬に伝う涙。
2日泣き続けた私に、涙なんか残ってないと思ってたのに、まだ涙あったらしい。
「泣いて、当たり前ですよ!慶都さん!私悔しい。悔しいよ」
そう言いながら、美波も一緒に泣いてくれた。2人泣きながら、話し合った。
…………
「うん、そう。今すぐ来て。慶都さんのマンション」
泣き疲れた私は、美波が誰かに電話している声で目が覚めた。泣き疲れて眠ってしまってみたい。
「誰に…電話してたの?」
「奥菜、って言いたいとこですけど、さすがにそれはあれなんで、陽一です。こっちに来てもらいます」
「え?金谷君?迎えに来てもらうの?」
頭が混乱する。
美波の彼氏、この間プロポーズを受けたから婚約者の金谷陽一君。
元々、同じ会社に勤めていたから、拓真も含めて3人は同期になる。
金谷君が、転職して同期としては付き合いがなくなったけど、4人で遊びにもよく行ってたけど。
どうして……。
「陽一知ってるみたいでした、さっきの話」
「え、いつから……」
動揺が隠せなくなっていた。
「陽一も、つい最近聞いたらしいですけど、とりあえず来いって呼びだしました」
「ね、美波。こんな事であなた達まで、おかしな事にならないで。そんな風になってほしくて話したんじゃないから…」
これも本心。
2人には幸せになって欲しい。
「それとこれとは別ですけど、私の気持ちが収まらないんです」
電話から30分程して、金谷君が私のマンションにやって来た。
「そこ、座って」
部屋に入ってきた金谷君に向かって、冷たく美波が話を始める。
「いつから知ってたの、奥菜が浮気してるってこと……」
…….!
聞きたくもない、けど聞きたい。
気持ちが交差する。
金谷君は、私を気にしているようだった。そりゃ、そうよね。彼女の前であんたの彼氏はいついつから浮気してたんだよって、話はしたくはないよね。
「言いにくいかったら、いいよ」
内心、言えなくても、言えよと思いながら、金谷君に言う。
「いや、俺もこれは、慶都さんには話しとかないと、って思ってたから…ただ、もっと早くに言うべきだったって」
「で、いつから?」
完全に美波は目が座ってた。
やば、完全に怒ってる。
そう思うと共に、一緒に怒ってくれる美波の事が、有難かった。
「半年前、AGの同期のメンバーで飲み会があったんだよ。」
「ちょっと待って、私そんなの聞いてないし、行ってないし、陽一辞めた人間じゃん」
「まぁ、同期会って、名の合コンだよ」
「俺も人数が足らないからって、声かかったんだけど、美波がいるから断ったんだよ。行けるか!って」
うんうん、と話を聞きながら、喜んでいるような美波。
「…で、拓真ももちろん声かかってたんだけど、断るだろうと思ってたら、行くって返事したんだよ」
「なんでよ!」
私が声に出すまでに、美波が怒っていた。
私の家に着くなり、いきなり核心に入ろうとする。
お酒の準備をしようとしているのに、それすらもさせてくれない。
「飲まなきゃ話出来ないから」
と、言い訳しながら自分自身の心の準備をしていた。
せっつく美波をよそに、冷静になってきた私は、ビールを飲みながら、口を開いた。
…………
「なんですか……、それ」
聞き終わった美波は、怒りに震えていた。
あまり怒った顔なんて、見た事がなかった私はびっくりしてしまった。
「なんですか…って、だから別れたの。拓真と」
「そこじゃないですよ!理由!」
誰が聞いても、そうなるよね。
うん。
そうだよ。それが普通の反応だから。
「仕方ないじゃない、私は強いから、いらないんだって。もっと甘えてくれる人がよかったんだって…、年上だからって……、っ、あれ、なんで泣いてるんだろう。もう涙なんか枯れたかと思ってたのに……」
美波に話しながら、頬に伝う涙。
2日泣き続けた私に、涙なんか残ってないと思ってたのに、まだ涙あったらしい。
「泣いて、当たり前ですよ!慶都さん!私悔しい。悔しいよ」
そう言いながら、美波も一緒に泣いてくれた。2人泣きながら、話し合った。
…………
「うん、そう。今すぐ来て。慶都さんのマンション」
泣き疲れた私は、美波が誰かに電話している声で目が覚めた。泣き疲れて眠ってしまってみたい。
「誰に…電話してたの?」
「奥菜、って言いたいとこですけど、さすがにそれはあれなんで、陽一です。こっちに来てもらいます」
「え?金谷君?迎えに来てもらうの?」
頭が混乱する。
美波の彼氏、この間プロポーズを受けたから婚約者の金谷陽一君。
元々、同じ会社に勤めていたから、拓真も含めて3人は同期になる。
金谷君が、転職して同期としては付き合いがなくなったけど、4人で遊びにもよく行ってたけど。
どうして……。
「陽一知ってるみたいでした、さっきの話」
「え、いつから……」
動揺が隠せなくなっていた。
「陽一も、つい最近聞いたらしいですけど、とりあえず来いって呼びだしました」
「ね、美波。こんな事であなた達まで、おかしな事にならないで。そんな風になってほしくて話したんじゃないから…」
これも本心。
2人には幸せになって欲しい。
「それとこれとは別ですけど、私の気持ちが収まらないんです」
電話から30分程して、金谷君が私のマンションにやって来た。
「そこ、座って」
部屋に入ってきた金谷君に向かって、冷たく美波が話を始める。
「いつから知ってたの、奥菜が浮気してるってこと……」
…….!
聞きたくもない、けど聞きたい。
気持ちが交差する。
金谷君は、私を気にしているようだった。そりゃ、そうよね。彼女の前であんたの彼氏はいついつから浮気してたんだよって、話はしたくはないよね。
「言いにくいかったら、いいよ」
内心、言えなくても、言えよと思いながら、金谷君に言う。
「いや、俺もこれは、慶都さんには話しとかないと、って思ってたから…ただ、もっと早くに言うべきだったって」
「で、いつから?」
完全に美波は目が座ってた。
やば、完全に怒ってる。
そう思うと共に、一緒に怒ってくれる美波の事が、有難かった。
「半年前、AGの同期のメンバーで飲み会があったんだよ。」
「ちょっと待って、私そんなの聞いてないし、行ってないし、陽一辞めた人間じゃん」
「まぁ、同期会って、名の合コンだよ」
「俺も人数が足らないからって、声かかったんだけど、美波がいるから断ったんだよ。行けるか!って」
うんうん、と話を聞きながら、喜んでいるような美波。
「…で、拓真ももちろん声かかってたんだけど、断るだろうと思ってたら、行くって返事したんだよ」
「なんでよ!」
私が声に出すまでに、美波が怒っていた。