あの日のメロディー
「別に慌てる必要はないわよ。でも、日が伸びてきたからといって女子高校生が1人で夜歩くのは危ないから気をつけてね」
「はい。じゃあ奏のこと今日もよろしくお願いします!奏また明日ね。おやすみなさい」
私は病室を後にした。
清水さんは優しい。奏のことだけじゃなくて私のこともいつも気にかけてくれる。
でも、ごめんなさい、、その優しさが私には辛いんです。私には優しくしてもらう資格なんてないんです。
帰りはまたバスに乗りヘッドホンを首にかける2つ先のとこで降り、歩く。すると肩を掴まれた。
「紅葉」
私の名前を呼ぶ声。この声は聞き覚えがある。私は静かに振り向く。
「朝比奈くん」
学校の王子朝比奈陽翔がいる。
「お前いま帰りか?女子がこんな人の少なくてくらいところ一人で歩くの危ないぞ?」
彼のいつものアイドルスマイルはない。
私は首にかけていたヘッドホンを耳に当て歩き出す。彼は私の手を掴み私の付けていたヘッドホンを強制的に外してきた。
「なに?朝比奈くんにはなにも関係ないよね?ヘッドホン返してくれない?」
「なぁ、紅葉」