あの日のメロディー
「えーと今日は遅れて来る人多いいみたいだからいる人だけでまずはじめまーす」
教室にはクラスの半分ほどしかいない。部活やら委員会やらで遅れて来る人が多いらしい。仕切ってるのも今日は松延さんではなく指揮者の今藤さんだ。
「今日は朝比奈くん来たら自由曲の練習も始めるらしいからそれまでは今まで通り課題曲やろう!」
私はいつも通り列には入るが口を開けずみんなの音を聞く。最初と比べればなかなかいい音になって来たと思う。
でも、ピアノと歌がいつも少しずれるんだよなぁ。
佐倉さんは指揮経験がないらしく、一生懸命やってるのは伝わるが一曲の中で何度か乱れる。
そんなことを考えながら聞いていると、
『ジャッガーン!!バタン。』
ピアノの音が急に乱れた。ちょうど最後のサビの部分だった。
「ゆき!!」
今藤さんが倒れたのだ。みんなが駆け寄る。
「ゆき大丈夫!?」
『今藤ちゃん(ゆきちゃん)大丈夫!?』
みんなが駆け寄るが、近藤さんはすぐに起き上がった。
「はは。ちょっと貧血でフラーってしちゃっただけだから大丈夫。みんなびっくりさせてごめ、、いたっ!」
なんともなさそうに話していた今藤さんが指を抑えて痛がった。
今藤さんはそのまま病院へ行ってしまった。