――桐島くん。
桐島くんはとても人気者だった。
男子からも女子からも慕われていて、彼がひとりでいるところを見たことがない。抜群の容姿と、明るい性格でいつもたくさんの人たちの中心にいた。
そんな彼が、突然姿を消してから今日で一週間。
1日目はただの風邪かなと軽く考えていた人たちも、2日目、3日目になると心配になり電話やメッセージを送り桐島くんと連絡を取ろうとしたけれど、誰ひとりとして彼とコンタクトを取れた人はいない。
もちろん、彼女のアヤでさえ桐島くんの行方は分からないらしい。
「きっとさ、友達と遊ぶのに夢中になってるだけじゃない?ほら、桐島くんって地方にも知り合いがいたじゃん」
ウサギのように真っ赤な瞳をしたアヤをフォローしたのはセイコだった。
桐島くんは不良ってわけでもないし、セイコのように金髪にしたり派手な見た目はしていなかったけれど、たしかに友達は本当に多かった。
SNSで知り合った人と遊びにいったり、○○に興味ある人は集まれ!なんて呼び掛けて、名前も知らない人と合流していたことはみんなが知っている。