――桐島くん。
「俺はなにをすればいい?メイコの言うことならなんでもするから。だから俺を捨てないで」
そのすがる瞳にゾクッとしながら、私は応えるように彼の手を握った。
「うーん、そうだな。とりあえず生き甲斐にしてるバスケができないようにしてきてよ」
足ぐらい折れても平気でしょ。だってアヤに硫酸をかけるぐらいのことをしたんだから。
そんなにアヤが憎かった?
アヤさえ消えれば彼女になれると思った?
でも、残念。本当の彼女は私だよ、チエミ。
「分かった。行ってくるよ」
彼はそう言って立ち上がった。
「あ、待って。これもついでに捨ててきてよ」
それは、アヤのスマホについていたストラップ。
「今度、違う女とおそろいのものを買ったら許さないからね」
「うん。分かってる。大丈夫。俺はメイコだけだから」
彼はにこりと笑って、チエミがいる学校へと向かった。
「いってらっしゃい。――桐島くん」
END