家出令嬢ですが、のんびりお宿の看板娘はじめました
クリスの背中を撫でながら、ごめんなさいと心でつぶやく。
(クリスさんが泣いてるのに。私なんだか今、ドキドキしてしまっています)
ザックの手がロザリーの頬をつつく。
「……ロザリー、顔が赤い。抱いているのが疲れたんじゃないか?」
「い、いえっ、大丈夫です。全然。それより、……クリスさんのほうが泣き疲れてきちゃったみたいです」
徐々に嗚咽がおさまり、しゃくりあげながらもクリスはロザリーから離れない。
ロザリーの髪の毛を指に巻き付けながら、肩に顎をのせて、はふと息を大きく吐き出した。
「……ロザリーちゃん、ふわふわ」
「広がっちゃって大変なんですけどね。この髪」
クリスがようやく話ができるまでに復活したので、ロザリーはホッとした。
「かわいいもん、好き。ふわふわ揺れてて、髪の毛も楽しそうなの。……ママにも、笑っていてほしいの。おうちが悲しいなら、ずっとここにいればいいのに」
「クリスさん」
「クリス。指輪を隠そうと思ってたの。この指輪があるから、ママはパパのこと、忘れないのかなって思って。ママが片付けしている間に、こっそり持ち出して……」
「それで失くしたちゃったんですか」
クリスは頷く。
「宿の花壇に埋めようって思って歩いてたの。でも宿が見えてきたあたりで、転んじゃって、失くしちゃった。ママに言ったらすごく怒られて、悲しくて……」
「そうですか。……頑張ったんですね。でも場所ははっきりしましたね。切り株亭近くを探せば、きっと見つかります!」
ロザリーは安心させるようにほほ笑みかけ、クリスを離した。
(クリスさんが泣いてるのに。私なんだか今、ドキドキしてしまっています)
ザックの手がロザリーの頬をつつく。
「……ロザリー、顔が赤い。抱いているのが疲れたんじゃないか?」
「い、いえっ、大丈夫です。全然。それより、……クリスさんのほうが泣き疲れてきちゃったみたいです」
徐々に嗚咽がおさまり、しゃくりあげながらもクリスはロザリーから離れない。
ロザリーの髪の毛を指に巻き付けながら、肩に顎をのせて、はふと息を大きく吐き出した。
「……ロザリーちゃん、ふわふわ」
「広がっちゃって大変なんですけどね。この髪」
クリスがようやく話ができるまでに復活したので、ロザリーはホッとした。
「かわいいもん、好き。ふわふわ揺れてて、髪の毛も楽しそうなの。……ママにも、笑っていてほしいの。おうちが悲しいなら、ずっとここにいればいいのに」
「クリスさん」
「クリス。指輪を隠そうと思ってたの。この指輪があるから、ママはパパのこと、忘れないのかなって思って。ママが片付けしている間に、こっそり持ち出して……」
「それで失くしたちゃったんですか」
クリスは頷く。
「宿の花壇に埋めようって思って歩いてたの。でも宿が見えてきたあたりで、転んじゃって、失くしちゃった。ママに言ったらすごく怒られて、悲しくて……」
「そうですか。……頑張ったんですね。でも場所ははっきりしましたね。切り株亭近くを探せば、きっと見つかります!」
ロザリーは安心させるようにほほ笑みかけ、クリスを離した。