家出令嬢ですが、のんびりお宿の看板娘はじめました
ボビーは散々自慢したことで満足し、父親とふたり、部屋に戻っていった。
そのあと、少年と父親は入浴しかしていない。
途中、チェルシーは子供には高すぎるので枕を変えてほしいという要望に対応するために一度部屋に入った。
たまたま用を足しに行ったボビーは不在だったが、父親のゲイリーは彼女が枕を交換してすぐ部屋を出たのを見ている。その間ほんの数分だ。
夜が明けて、少年がいつものように袋の中身を確認しようと机の上に広げたとき、キラキラした金色の記念硬貨はすっかり姿を消していたというのだ。
「僕たち以外に部屋に入ったのはお姉ちゃんだけだよ。だからお姉ちゃんが犯人だ!」
少年の主張は無茶苦茶である。しかしもっと無茶苦茶なのは、それを父親であるゲイリーが頷きながら聞いていることである。
「私はこの宿屋の従業員です。宿に不利益になることはしません。枕を変えたときも袋なんて見ておりませんし、入浴中だって貴重品は預からせていただいているはずですわ」
今でこそ個室が増えてきたが、以前は宿といっても大部屋で雑魚寝することが普通だった。その時の名残で、切り株亭では貴重品をカウンターに置いてある金庫で預かるシステムを取っている。
チェルシーはやましいところなどないとでもいうように、堂々と言い切った。
「なんなら私の荷物をお調べください。それで気が済むというのなら」
「そうさせてもらおう。しかし君の荷物から記念硬貨が出てきたときは分かってるな? こんな宿、つぶしてやる」
ガラの悪い父親の態度に、ケネスもザックも眉をひそめる。
そのあと、少年と父親は入浴しかしていない。
途中、チェルシーは子供には高すぎるので枕を変えてほしいという要望に対応するために一度部屋に入った。
たまたま用を足しに行ったボビーは不在だったが、父親のゲイリーは彼女が枕を交換してすぐ部屋を出たのを見ている。その間ほんの数分だ。
夜が明けて、少年がいつものように袋の中身を確認しようと机の上に広げたとき、キラキラした金色の記念硬貨はすっかり姿を消していたというのだ。
「僕たち以外に部屋に入ったのはお姉ちゃんだけだよ。だからお姉ちゃんが犯人だ!」
少年の主張は無茶苦茶である。しかしもっと無茶苦茶なのは、それを父親であるゲイリーが頷きながら聞いていることである。
「私はこの宿屋の従業員です。宿に不利益になることはしません。枕を変えたときも袋なんて見ておりませんし、入浴中だって貴重品は預からせていただいているはずですわ」
今でこそ個室が増えてきたが、以前は宿といっても大部屋で雑魚寝することが普通だった。その時の名残で、切り株亭では貴重品をカウンターに置いてある金庫で預かるシステムを取っている。
チェルシーはやましいところなどないとでもいうように、堂々と言い切った。
「なんなら私の荷物をお調べください。それで気が済むというのなら」
「そうさせてもらおう。しかし君の荷物から記念硬貨が出てきたときは分かってるな? こんな宿、つぶしてやる」
ガラの悪い父親の態度に、ケネスもザックも眉をひそめる。