家出令嬢ですが、のんびりお宿の看板娘はじめました
急にザックが近づいてきたので、ロザリーはびっくりして思わず身をよける。
「……なんだ?」
「すみません。男の人にこんなに近づくのは珍しくて」
「そんなんでよく一人旅なんてしているな」
呆れたようなザックに改めて深呼吸をしてから近づく。
身長差のせいで、普通に近よると胸のあたりの匂いを嗅ぐことになる。しゃがんで足もとの香り、それから、少しかがんでもらって顔のあたりの匂いを嗅ぐ。
顔が近づいてきたときは再びたじろいでしまったが、また馬鹿にされては困るので平常を装った。
ザックから一番強く感じる香りは、馬の匂いだ。それと、先ほど飲んでいた蜂蜜酒の匂いが強いが、その前はおそらく肉料理を食べている。ほんのわずかだが、甘さを含む優しい香りがした。少年が言うところのお守りのようなものを持っているのかもしれない。
まずは彼に信用してもらうことが一番だ。
ロザリーは匂いから読み取れただけの情報を提示する。
「ザック様は乗馬がお好きですかね。馬のお手入れももしかしたら自分でされるのではありませんか?」
「ああ、そうだな」
当りだ。
馬に乗るだけではそれほどつくはずのない藁の匂いがザックの腕のあたりに残っている。頬にひときわ強くついた馬の匂いは、おそらく唾液のもの。
「……なんだ?」
「すみません。男の人にこんなに近づくのは珍しくて」
「そんなんでよく一人旅なんてしているな」
呆れたようなザックに改めて深呼吸をしてから近づく。
身長差のせいで、普通に近よると胸のあたりの匂いを嗅ぐことになる。しゃがんで足もとの香り、それから、少しかがんでもらって顔のあたりの匂いを嗅ぐ。
顔が近づいてきたときは再びたじろいでしまったが、また馬鹿にされては困るので平常を装った。
ザックから一番強く感じる香りは、馬の匂いだ。それと、先ほど飲んでいた蜂蜜酒の匂いが強いが、その前はおそらく肉料理を食べている。ほんのわずかだが、甘さを含む優しい香りがした。少年が言うところのお守りのようなものを持っているのかもしれない。
まずは彼に信用してもらうことが一番だ。
ロザリーは匂いから読み取れただけの情報を提示する。
「ザック様は乗馬がお好きですかね。馬のお手入れももしかしたら自分でされるのではありませんか?」
「ああ、そうだな」
当りだ。
馬に乗るだけではそれほどつくはずのない藁の匂いがザックの腕のあたりに残っている。頬にひときわ強くついた馬の匂いは、おそらく唾液のもの。