家出令嬢ですが、のんびりお宿の看板娘はじめました
「わ、私。雇っていただけるんですか?」
「レイモンドは私の恩人を追い出したりしないわ。それにザック様が口添えしてくださったの。あなたの失せもの探しは宿の名物になるはずだって」
「ザック様が?」
黒髪の青年を思い出し、ロザリーの胸が高鳴る。昨日は、硬貨探しに付き合ってくれ、解明に協力してくれた。終わった後は労をねぎらってくれもして、ザックに対しては信頼感が生まれている。
ぽうっとなった自分に気づき、慌てて首を振る。
「で、ではっ、すぐに着替えます。チェルシーさん、入ってください」
女性同士ならば見られても恥ずかしくはない。
ロザリーはスーツケースを広げ、中からワンピースを取り出した。
チェルシーは部屋の中を確認しながら、蜘蛛の巣を目ざとく見つけ、箒に引っかけて取っていた。
「狭い部屋でごめんね。でもここも一応客室なのよ。住むところが決まるまではここにいるといいって、レイモンドが。仕事は、とりあえず私がいろいろ教えてあげるわね。でもあなたは失せもの依頼が来たらそちらを優先にするようにって」
「失せもの探し?」
「得意なんでしょう? それを売りにすればいいってザック様が言っていたわ。温泉地であるここには観光客が多いし、物を失くしたとかの騒ぎは結構多いのよ。昨日みたいに、従業員やほかのお客様に言いがかりをつけてくる人も結構いるの。そういうトラブルがない宿って噂が立つだけでもイメージアップよ」
「なるほど?」
「レイモンドは私の恩人を追い出したりしないわ。それにザック様が口添えしてくださったの。あなたの失せもの探しは宿の名物になるはずだって」
「ザック様が?」
黒髪の青年を思い出し、ロザリーの胸が高鳴る。昨日は、硬貨探しに付き合ってくれ、解明に協力してくれた。終わった後は労をねぎらってくれもして、ザックに対しては信頼感が生まれている。
ぽうっとなった自分に気づき、慌てて首を振る。
「で、ではっ、すぐに着替えます。チェルシーさん、入ってください」
女性同士ならば見られても恥ずかしくはない。
ロザリーはスーツケースを広げ、中からワンピースを取り出した。
チェルシーは部屋の中を確認しながら、蜘蛛の巣を目ざとく見つけ、箒に引っかけて取っていた。
「狭い部屋でごめんね。でもここも一応客室なのよ。住むところが決まるまではここにいるといいって、レイモンドが。仕事は、とりあえず私がいろいろ教えてあげるわね。でもあなたは失せもの依頼が来たらそちらを優先にするようにって」
「失せもの探し?」
「得意なんでしょう? それを売りにすればいいってザック様が言っていたわ。温泉地であるここには観光客が多いし、物を失くしたとかの騒ぎは結構多いのよ。昨日みたいに、従業員やほかのお客様に言いがかりをつけてくる人も結構いるの。そういうトラブルがない宿って噂が立つだけでもイメージアップよ」
「なるほど?」