好きって言わなきゃヤダ。【完】
思いの形はそれぞれ
気が重いまま放課後を迎える。
大きなため息を零しながら
待ち合わせ場所で那央を待っていると
小走りでこちらへ向かってくる姿が視界に映る。
「ごめんね、乙羽。待たせちゃった?」
「あっ、ううん。大丈夫だよ。」
息を整える那央に優しく微笑む。
「そんなに走ってこなくてもいいのに。」
思わずクスクスッと小さく笑みを零す。
「だって、乙羽と居られる時間を、少しでも長くしたいからさ。」
恥ずかし気もなくキザな台詞を言う那央に
再び笑い声をあげそうになったが「ありがとう」と頷いた。
那央はどうしてこんなに、優しいんだろう。
あの頃から、何一つ変わってないよ。