重なるてのひら ~ふれあう思い~
玄関の鍵を開ける音がして……………………先生がきた。

樹先生に貰ったバースデープレゼントは

いつしか当たり前のように、先生の鞄の中でカチャリと音を立てている。

『あれ程使わないって言ってたのになぁ。』




落ち着かずソワソワエプロンを外していたら

「メリークリスマス。」と言って、顔を覗かせた。

「今日はお迎えなしだったんだね。」

いつもは、鍵の音が聞こえると………玄関で待ってるんだけど……

行けないよぅ~

「………………メリー………クリスマス……………。
…………………おかえりなさい。」

下を向いたままにしか話せない。

態度が悪いって………帰ったりしないかな?

不安になって、上目使いに見上げると

じっと見つめる先生と目が合っちゃった。

「何??」

「えっ?あっ、えっと……。あっ。」

「照れんな、俺まで照れる。」って言うと

頭をポンと叩いて、リビングに入って行っちゃった。

なんだ。

先生も照れくさかったんだ。

慌てリビングに着いて行くと

パタパタと二人のスリッパの音が重なった。
< 19 / 55 >

この作品をシェア

pagetop