重なるてのひら ~ふれあう思い~
一通りお部屋を見せてもらったの。

隣と同じで……荷物もあまり無いから………

ほとんど隣と変わらないはずなのに…………男の人の部屋だなぁって思う。

前に先生のお部屋を借りた時は、先生は先生としか見てなかったから……

あまりそんな風には感じなかったけど……。

一人、心の変化を思い返していたら………

「尋、色々見てどう思った?何も無い部屋でしょう?
今までこれで不便がなかったから、当分これで過ごそうと思う。
尋が一緒に住むか、ここに泊まりに来れるようになったら……
一緒に道具を増やしていこう。
後、1年と2ヶ月したら………
『ここが尋の居場所になるって覚えておいて。
決して一人にならないからね。』」って。

そっかぁ!

先生が隣と変わらないここの部屋を、こんなにじっくり見せてくれたのは

最後の一言を伝えるためだったんだね。

卒業するまでは……

先生は彼氏だけど……先生。

私も彼女だけど……生徒。

我慢することや淋しい時間もあるかもしれないけど……

生徒として、将来のことをしっかり悩んで

娘として家族と向き合っても……先生が相談にのってくれる。

そして………

卒業したら………彼氏彼女として

一番近くで一緒に生きていけるから………安心して大丈夫って。

うん!

淋しいって泣く時や家族とぶつかって苦しむかもしれないけど……

隣で見守ってくれるんだよね。

1年と2ヶ月後に、笑って先生の隣に立てるように頑張る。

先生………

先生としてでも彼氏としてでもいいから……側にいて話しを聞いてね。
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