重なるてのひら ~ふれあう思い~

3月

あれからメールをして……帰らなかった。

お姉ちゃんが、私と家族を結びつけようとしているのは分かるけど……

無理だから。

少し前までだと、逃げてる自分が嫌で………

お姉ちゃんを困らせてる自分が嫌いだった。

でも………………

先生に出逢って…………気持ちが楽になったの。

『おかしいのは、尋じゃない。ご両親だ。
辛ければ………逃げたって良い。戦うだけが正義じゃないんだから。
尋は一人じゃない。戦うなら………俺が一緒に戦ってやる。』って……。

だからかなぁ~

春が訪れるように……………

私の心も…………少しずつ雪解けが始まってる気がする。

両親のことも………

以前だと…………『親』という存在が強かったけれど…………

今は…………『一人の人間』として………とらえられるようになったの。

親だから、大人だから………ってだけで

愛情を与えてくれる存在だと思っていたけれど………

間違いだった。

大人になってない大人だって

親になりきれてない親だっていることを知って…………楽になった。

今は………

女子高生でいられる時間を楽しもうと思ってる。

勉強も部活も……友情も……。

恋だって楽しむ!

いつか必ず…………家を出る時は来る。

それが、卒業なのか結婚なのか………それとも明日なのか………

誰にも分からない。

だからそれまでに…………

大人になる準備………

親になる準備をしっかりして………

自分は、愛する人を大切に愛せる人間になろうと思うの。

先ずは…………………。
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