独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
ドキンドキンドキンドキン。
心臓が忙しなく暴れだす。
「ほかの男を金輪際見るなよ? もう俺のものだから」
茶化すように耳元で囁いた彼は、私に返答を与える間もなく私の唇を塞いだ。
その柔らかな感触に目を瞠る。
好きだと言われた訳じゃない。ただ本物の婚約者だと言われただけだ。私の気づいたばかりの恋が叶った訳じゃない。彼は私と恋をするわけじゃない。
私のことが好き?とは臆病な私は尋ねることができなかった。彼の気持ちは相変わらずわからないままなのに。こんな関係は歪なのに、私はこのキスを拒めない。
切なくて寂しいキスに胸が痛い。
知らずに零れ落ちた涙がテーブルにポタリと落ちる。
「なんで泣く?」
私の唇を解放した彼が私の涙を、怪訝な表情を浮かべて綺麗な指でそっと拭う。
「受け入れてもらえると、思えなくて」
私の恋心を。あなたへの想いを。一見両想いのように見えるのに、まるで薄氷の上にいるような危うさを含む私たちの距離。この距離はこれから先、変わることがあるのだろうか。
「俺は橙花にずっと受け入れて欲しかった。ずっと願っていた」
切なそうに彼は綺麗な瞳を眇める。
それは婚約を、だよね? いつか私よりいい条件の婚約相手が見つかったらあなたは私の手を離すよね?
恐くて核心をつく質問を口に出せない私はやっぱり臆病だ。私には姉のような恋はできない。
私に恋は不向きだ。
心臓が忙しなく暴れだす。
「ほかの男を金輪際見るなよ? もう俺のものだから」
茶化すように耳元で囁いた彼は、私に返答を与える間もなく私の唇を塞いだ。
その柔らかな感触に目を瞠る。
好きだと言われた訳じゃない。ただ本物の婚約者だと言われただけだ。私の気づいたばかりの恋が叶った訳じゃない。彼は私と恋をするわけじゃない。
私のことが好き?とは臆病な私は尋ねることができなかった。彼の気持ちは相変わらずわからないままなのに。こんな関係は歪なのに、私はこのキスを拒めない。
切なくて寂しいキスに胸が痛い。
知らずに零れ落ちた涙がテーブルにポタリと落ちる。
「なんで泣く?」
私の唇を解放した彼が私の涙を、怪訝な表情を浮かべて綺麗な指でそっと拭う。
「受け入れてもらえると、思えなくて」
私の恋心を。あなたへの想いを。一見両想いのように見えるのに、まるで薄氷の上にいるような危うさを含む私たちの距離。この距離はこれから先、変わることがあるのだろうか。
「俺は橙花にずっと受け入れて欲しかった。ずっと願っていた」
切なそうに彼は綺麗な瞳を眇める。
それは婚約を、だよね? いつか私よりいい条件の婚約相手が見つかったらあなたは私の手を離すよね?
恐くて核心をつく質問を口に出せない私はやっぱり臆病だ。私には姉のような恋はできない。
私に恋は不向きだ。