独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
数時間があっという間に過ぎた。
大輝さんの質問に答えていると、柿元さんに声をかけられた。
「都筑様、副社長の様子を見てきてくださいませんか」
「は、はい」
そう言われて私は煌生さんの部屋に向かう。
本当はずっと気になっていた。けれどゆっくり休んでいる彼の邪魔をしたくはなく、動けずにいた。私が彼の部屋ばかりを見つめていることに、柿元さんは気がついていたのだろう。
リビングの喧騒が嘘のように静まり返った廊下を、明かりを灯して歩く。念のために寝室のドアをそっとノックするけれど、反応はない。
「……煌生さん?」
小さく声をかけてドアを開ける。
ベットサイドに灯されたライトが、青白い煌生さんの顔をぼんやりと照らしていた。
そうっと近づくけれど、彼は身じろぎすることもなく、瞼は閉じられていた。心配になり、傍によると小さな寝息が聞こえてきた。額に手を乗せると熱は随分下がっているようだった。
「……良かった」
小さく独り言を呟く。
顔色はまだあまり良いとはいえないけれど、穏やかな寝息をたてている彼の顔を見つめていると、ホッとすると同時に愛しさと切なさが込み上げた。
長い睫毛、高い鼻梁、薄い唇。寝顔だというのに、うっとりしてしまうほど整っている。
それに加えて高い地位に優秀な頭脳。私とは生きる世界が違う人。なのにいつの間にかこんなにも好きになってしまった。
彼の右側に置かれた丸い木製の椅子にそっと腰かける。
大輝さんの質問に答えていると、柿元さんに声をかけられた。
「都筑様、副社長の様子を見てきてくださいませんか」
「は、はい」
そう言われて私は煌生さんの部屋に向かう。
本当はずっと気になっていた。けれどゆっくり休んでいる彼の邪魔をしたくはなく、動けずにいた。私が彼の部屋ばかりを見つめていることに、柿元さんは気がついていたのだろう。
リビングの喧騒が嘘のように静まり返った廊下を、明かりを灯して歩く。念のために寝室のドアをそっとノックするけれど、反応はない。
「……煌生さん?」
小さく声をかけてドアを開ける。
ベットサイドに灯されたライトが、青白い煌生さんの顔をぼんやりと照らしていた。
そうっと近づくけれど、彼は身じろぎすることもなく、瞼は閉じられていた。心配になり、傍によると小さな寝息が聞こえてきた。額に手を乗せると熱は随分下がっているようだった。
「……良かった」
小さく独り言を呟く。
顔色はまだあまり良いとはいえないけれど、穏やかな寝息をたてている彼の顔を見つめていると、ホッとすると同時に愛しさと切なさが込み上げた。
長い睫毛、高い鼻梁、薄い唇。寝顔だというのに、うっとりしてしまうほど整っている。
それに加えて高い地位に優秀な頭脳。私とは生きる世界が違う人。なのにいつの間にかこんなにも好きになってしまった。
彼の右側に置かれた丸い木製の椅子にそっと腰かける。