独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
「彼女は穂積不動産株式会社から急遽手伝いに来ていただいた、都筑さんです」
羽野チーフが眉間に皺を寄せて返答する。
「へえ、穂積から? どおりで知らないわけだ……ちょうどいい、彼女に頼むことにする」
なぜか嬉しそうな表情を浮かべて、副社長が私をじろじろと不躾に見る。
「まさか都筑さんにですか!? 副社長、それは困ります!」
勇敢にもチーフが私を庇うように前に出た。
「本人の了解を得られれば問題ないだろう? 俺は設楽 煌生(したら こうき)、アンタに助けてもらいたいんだ」
チーフを軽くあしらいながら、輝くような笑顔で彼が私に話しかける。
先程までの不機嫌な表情は跡形も残っていない。左隣に立っているチーフを見ると、険しい顔で首を勢いよく横に振る。
「聞かなくていいわよ」
チーフが小さな声で私にそう言う。
「設楽」「副社長」私の頭の中で色々なキーワードが駆け巡る。
この人、まさか!
「設楽、副社長? 設楽グループ次期社長と言われている……」
そうだ、間違いない。以前に、千夏ちゃんに副社長が載っている経済雑誌を見せてもらったことがある。
正直まったく興味はなかったけれど、この綺麗な顔立ちと薄茶色の髪に見覚えがある。社長の奥様、彼の母親がフランスと日本とのハーフらしい。
呟くような私の声を彼が拾う。
「よく知っている。社員の鑑だな」
羽野チーフが眉間に皺を寄せて返答する。
「へえ、穂積から? どおりで知らないわけだ……ちょうどいい、彼女に頼むことにする」
なぜか嬉しそうな表情を浮かべて、副社長が私をじろじろと不躾に見る。
「まさか都筑さんにですか!? 副社長、それは困ります!」
勇敢にもチーフが私を庇うように前に出た。
「本人の了解を得られれば問題ないだろう? 俺は設楽 煌生(したら こうき)、アンタに助けてもらいたいんだ」
チーフを軽くあしらいながら、輝くような笑顔で彼が私に話しかける。
先程までの不機嫌な表情は跡形も残っていない。左隣に立っているチーフを見ると、険しい顔で首を勢いよく横に振る。
「聞かなくていいわよ」
チーフが小さな声で私にそう言う。
「設楽」「副社長」私の頭の中で色々なキーワードが駆け巡る。
この人、まさか!
「設楽、副社長? 設楽グループ次期社長と言われている……」
そうだ、間違いない。以前に、千夏ちゃんに副社長が載っている経済雑誌を見せてもらったことがある。
正直まったく興味はなかったけれど、この綺麗な顔立ちと薄茶色の髪に見覚えがある。社長の奥様、彼の母親がフランスと日本とのハーフらしい。
呟くような私の声を彼が拾う。
「よく知っている。社員の鑑だな」