独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
「……もちろん、紫さんにも。橙花さんを綺麗にしてくれてありがとう」
姉に頭を下げる煌生さん。姉は嬉しそうに私を見ながら笑って言う。
「いいえ、とても楽しかったです。橙花ちゃんのことをよくわかってらっしゃるなあって脱帽でした」
「……大切な女性ですから」
彼が真剣な表情で言う。
「ふふ、それを早く妹に実感させてあげてください。この子ったらずっと自分は偽物だって勘違いをしているから」
姉はそう言って私の背中を軽く押す。
姉は何を言っているの?
「橙花ちゃんに似合う服をあんなにピッタリ迷いなく選べるのだもの。彼は橙花ちゃんを幸せにしてくれるわ。気づいてる? 彼と橙花ちゃんの服の色、然り気無くお揃いなのよ」
まさか、そんなこと……!
その事実に目を見開く。胸が熱くなり、言葉にならない想いが込み上げる。
耳元で囁く姉の優しい声。
「おいで、橙花」
彼はそっと私の手を取って再び壇上に向かう。壇上には既に社長夫妻が立っている。
「煌生さん!?」
壇上に引っ張られるように歩く私を、期待に満ちた優しい笑顔を浮かべて周囲の人が見つめている。会場は水をうったかのように静まりかえっている。
ううん、周囲の人だけではない。壇上に立つ社長夫妻までもが笑顔を浮かべている。壇上に上がった煌生さんは、訳がわからずにパニックになりかけている私の右手を自身の左手でギュウッと包み込んだ。
大丈夫だ、というかのように。
それから彼はマイクを持ち、凛とした声で話し出す。
「本日はもうひとつ皆様にご報告したいことがあります。私事で恐縮ですが、この度私、設楽煌生はこちらにいる都筑橙花さんと婚約いたしました」
姉に頭を下げる煌生さん。姉は嬉しそうに私を見ながら笑って言う。
「いいえ、とても楽しかったです。橙花ちゃんのことをよくわかってらっしゃるなあって脱帽でした」
「……大切な女性ですから」
彼が真剣な表情で言う。
「ふふ、それを早く妹に実感させてあげてください。この子ったらずっと自分は偽物だって勘違いをしているから」
姉はそう言って私の背中を軽く押す。
姉は何を言っているの?
「橙花ちゃんに似合う服をあんなにピッタリ迷いなく選べるのだもの。彼は橙花ちゃんを幸せにしてくれるわ。気づいてる? 彼と橙花ちゃんの服の色、然り気無くお揃いなのよ」
まさか、そんなこと……!
その事実に目を見開く。胸が熱くなり、言葉にならない想いが込み上げる。
耳元で囁く姉の優しい声。
「おいで、橙花」
彼はそっと私の手を取って再び壇上に向かう。壇上には既に社長夫妻が立っている。
「煌生さん!?」
壇上に引っ張られるように歩く私を、期待に満ちた優しい笑顔を浮かべて周囲の人が見つめている。会場は水をうったかのように静まりかえっている。
ううん、周囲の人だけではない。壇上に立つ社長夫妻までもが笑顔を浮かべている。壇上に上がった煌生さんは、訳がわからずにパニックになりかけている私の右手を自身の左手でギュウッと包み込んだ。
大丈夫だ、というかのように。
それから彼はマイクを持ち、凛とした声で話し出す。
「本日はもうひとつ皆様にご報告したいことがあります。私事で恐縮ですが、この度私、設楽煌生はこちらにいる都筑橙花さんと婚約いたしました」