独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
「聞いてません! それにこの服はなんですか!?」

淡いミルクティー色のウエストを軽く絞った膝丈のワンピース。歩く度に裾がふわりと軽やかになびく。信じられないほど軽く肌触りの良い生地はきっと高価なのだろう。

「ワンピースだろ? アンタの雰囲気によく似合っていると思うけど。気に入らないか?」
立ち上がり、私の目の前までやってきた彼が腕を組みながら尋ねる。

「そんなこと聞いてません! こんなに服ばかり必要ないんですってば‼」
この短時間で、彼から贈られた服はもう何着目になるだろう。
金切声をあげる私を見て、クックッと彼が笑う。

「仕方ないだろ? アンタの服の好みは黒とか地味なものばかりみたいだし、俺の好みにまったく合わない」
至極当たり前のように彼が言う。

「あなたの好みに合わせるつもりはありません!」
「契約内容、忘れたのか? ほら、こっちも着てこいよ」
ほかの洋服を手にしながら、無駄に綺麗な顔を私に近づけて彼が不敵に笑う。

グッと言葉に詰まる。
……あんな契約、するんじゃなかった。少し前の自身の決断を早くも後悔し始めていた。
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