独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
『……具体的に私は何をすればいいのでしょうか』
小さな声で彼に尋ねる。それが返事だった。
彼は嬉しそうに破顔する。
『その気になった?』
『……断る余地がなさそうなので』
恥ずかしさもあり、嫌々だ、という態度で返答する。
制服のポケットからメモを出す私に苦笑した彼が、手をひらひらと振って返事をする。
『どうせ親父はそれほど詮索してこないだろうし、ふたりで過ごしている写真を適当に撮って両親に会えばいいだけだ』
副社長は簡単に言うけれど、社長夫妻との面会が一番重要で難しい気がする。そんな演技力が私にあるだろうか。
『契約書も念のために作成しておいた。報酬はそれで納得できなければ言ってくれ』
いつの間に作成したんだろう。本当にその手際の良さに脱帽する。
『先程、飛び出して行かれた女性用に作成させていただいていたものですよ。都筑様仕様に少しだけ変更点を加えましたが』
すかさず副社長の左側に立つ柿元さんが言う。謎がとけた。
『あの、先程の女性にもこの話はなさったんですか?』
柿元さんを見上げながら尋ねると、柿元さんが微笑む。
『いえ、詳しいお話しをする前に彼女は、副社長に言い寄られてましたから』
『言っておくがこの話は社外秘だからな。トップシークレットだ。ほら、契約書』
面白くなさそうに副社長が言って、長い指で私に一枚の紙を差し出す。指まで綺麗だなんて、本当にこの人の外見はどこまでも完璧だ。
小さな声で彼に尋ねる。それが返事だった。
彼は嬉しそうに破顔する。
『その気になった?』
『……断る余地がなさそうなので』
恥ずかしさもあり、嫌々だ、という態度で返答する。
制服のポケットからメモを出す私に苦笑した彼が、手をひらひらと振って返事をする。
『どうせ親父はそれほど詮索してこないだろうし、ふたりで過ごしている写真を適当に撮って両親に会えばいいだけだ』
副社長は簡単に言うけれど、社長夫妻との面会が一番重要で難しい気がする。そんな演技力が私にあるだろうか。
『契約書も念のために作成しておいた。報酬はそれで納得できなければ言ってくれ』
いつの間に作成したんだろう。本当にその手際の良さに脱帽する。
『先程、飛び出して行かれた女性用に作成させていただいていたものですよ。都筑様仕様に少しだけ変更点を加えましたが』
すかさず副社長の左側に立つ柿元さんが言う。謎がとけた。
『あの、先程の女性にもこの話はなさったんですか?』
柿元さんを見上げながら尋ねると、柿元さんが微笑む。
『いえ、詳しいお話しをする前に彼女は、副社長に言い寄られてましたから』
『言っておくがこの話は社外秘だからな。トップシークレットだ。ほら、契約書』
面白くなさそうに副社長が言って、長い指で私に一枚の紙を差し出す。指まで綺麗だなんて、本当にこの人の外見はどこまでも完璧だ。