独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
「婚約者を溺愛している俺が多忙な時間をぬって、彼女の買い物に時間を割く。もしくは控えめで引っ込み思案な婚約者のために変身を手伝う、そんなシナリオだからまったく問題ない」
意味の分からない設定に反論する気も失せて黙り込む。そんな私たちを柿元さんが楽しそうにクスクス笑っていた。
そもそも買い物の量が多すぎる。
こんなに服も靴もバッグも必要ではない。何度言っても取り合ってもらえない。
そのうえ、すべてが雑誌やテレビでしか見たことのないような高級ブランドショップなのだ。しかもそのすべてでVIPルームに通される。それだけでかなりの気疲れだ。
この人は本当にお金持ちの御曹司で、設楽ホールディングスを背負う副社長なのだなと実感する。この人の背中には数えきれないほどの責任がのしかかっている。
一緒にいて気づいたことだけど、この人の仕草ひとつひとつには品がある。高級ブランドショップでどう振る舞っていいかわからない私とは違い、彼はどんな店に行っても堂々としている。そしてそれが嫌味ではない。生まれながらに備わった気品というのだろうか。
さらに重要なことに、この車いっぱいに載せられた荷物は私のお給料と貯金ではおよそ支払えない金額だ。表情が変わりにくいと言われる私もさすがに半泣き状態になり、彼にそのことを告げて、買い物を取りやめてくれるように懇願した。彼は驚き、噴き出した。
「アンタに支払わせるわけないだろ、これは食券のオマケだとでも思え。必要経費だ」
ブハッとあどけなく笑う副社長。
その笑顔が眩しくて胸がざわついた。そんな表情を見せてくれたことが嬉しかった。その理由はわからない。
人前でスマートに振る舞う微笑みも綺麗だとは思うけれど、こういった笑顔のほうがこの人には似合っている気がする。
意味の分からない設定に反論する気も失せて黙り込む。そんな私たちを柿元さんが楽しそうにクスクス笑っていた。
そもそも買い物の量が多すぎる。
こんなに服も靴もバッグも必要ではない。何度言っても取り合ってもらえない。
そのうえ、すべてが雑誌やテレビでしか見たことのないような高級ブランドショップなのだ。しかもそのすべてでVIPルームに通される。それだけでかなりの気疲れだ。
この人は本当にお金持ちの御曹司で、設楽ホールディングスを背負う副社長なのだなと実感する。この人の背中には数えきれないほどの責任がのしかかっている。
一緒にいて気づいたことだけど、この人の仕草ひとつひとつには品がある。高級ブランドショップでどう振る舞っていいかわからない私とは違い、彼はどんな店に行っても堂々としている。そしてそれが嫌味ではない。生まれながらに備わった気品というのだろうか。
さらに重要なことに、この車いっぱいに載せられた荷物は私のお給料と貯金ではおよそ支払えない金額だ。表情が変わりにくいと言われる私もさすがに半泣き状態になり、彼にそのことを告げて、買い物を取りやめてくれるように懇願した。彼は驚き、噴き出した。
「アンタに支払わせるわけないだろ、これは食券のオマケだとでも思え。必要経費だ」
ブハッとあどけなく笑う副社長。
その笑顔が眩しくて胸がざわついた。そんな表情を見せてくれたことが嬉しかった。その理由はわからない。
人前でスマートに振る舞う微笑みも綺麗だとは思うけれど、こういった笑顔のほうがこの人には似合っている気がする。