独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
帰る際も女将さんは見送りに来てくださり、また是非いらしてね、と声をかけてくれた。
食事の後、今日は心の準備ができていないのでという私を彼は渋々自宅に送ってくれた。
子どものように拗ねた彼の姿が何だかおかしかった。
今日買った荷物は、ほぼすべて彼の自宅に置いてある。
車が自宅の前に着き、助手席のシートベルトを外して降りようとした私の右腕がふいに引っ張られた。
「忘れ物」
そう言って彼は、私の右手に光り輝く鍵を握らせた。可愛らしい花のモチーフが付いたキーリングがつけてある。
「これ……」
鍵を凝視する私に、彼が頭上でフッと笑む。
「俺の部屋の鍵。毎日持ってろ。自由に使っていいから」
「自由にって、鍵って、こんなの受け取れません!」
あんな豪華の部屋の鍵なんて恐れ多くて無理だし、第一どうして鍵を私に与えるの?
「橙花は俺の婚約者だろ? 合鍵を持つのは当たり前だ」
なんでもないことのようにそう言って、彼は私の頬にそっと指を滑らす。
「俺は時間通りに帰れないことも多いし、いつも柿元や大輝の車に橙花を乗せるのも嫌だから」
少し憂いを含んだ紅茶色の瞳が私を射抜く。
「それって……どういう意味?」
触れる指の感触にだんだん頰が熱くなる。
「さあな、自分で考えろ。答え合わせはまた今度」
数時間前と同じ台詞を口にして、妖艶に微笑んだ彼は私の額に唇を落とした。
食事の後、今日は心の準備ができていないのでという私を彼は渋々自宅に送ってくれた。
子どものように拗ねた彼の姿が何だかおかしかった。
今日買った荷物は、ほぼすべて彼の自宅に置いてある。
車が自宅の前に着き、助手席のシートベルトを外して降りようとした私の右腕がふいに引っ張られた。
「忘れ物」
そう言って彼は、私の右手に光り輝く鍵を握らせた。可愛らしい花のモチーフが付いたキーリングがつけてある。
「これ……」
鍵を凝視する私に、彼が頭上でフッと笑む。
「俺の部屋の鍵。毎日持ってろ。自由に使っていいから」
「自由にって、鍵って、こんなの受け取れません!」
あんな豪華の部屋の鍵なんて恐れ多くて無理だし、第一どうして鍵を私に与えるの?
「橙花は俺の婚約者だろ? 合鍵を持つのは当たり前だ」
なんでもないことのようにそう言って、彼は私の頬にそっと指を滑らす。
「俺は時間通りに帰れないことも多いし、いつも柿元や大輝の車に橙花を乗せるのも嫌だから」
少し憂いを含んだ紅茶色の瞳が私を射抜く。
「それって……どういう意味?」
触れる指の感触にだんだん頰が熱くなる。
「さあな、自分で考えろ。答え合わせはまた今度」
数時間前と同じ台詞を口にして、妖艶に微笑んだ彼は私の額に唇を落とした。