独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
この一週間は彼に呼び出されることもなく、平和な毎日だった。私の通常業務は小さなトラブルや残業もあったけれど、いつも通りと言っていい毎日だった。

この一週間、なぜか彼は私に細目にメッセージを送ってくれる。他愛のないことだったり、彼の予定だったり。忙しいこの人がメッセージをくれる理由はわからない。だけどそれを彼に尋ねたいとは思わなかった。

むしろ彼が多忙な毎日の合間にそうやって連絡をくれることが嬉しかった。これはただの報告なのか、私は彼に返信していいのかわからず、最初のうちは何度もメッセージを読み返して考えていたのだけれど、ある日彼から不満を露わにしたメッセージが届いた。

【なぜ返事をしてこない？】

そのメッセージを読んだ時、どこか安堵する自分がいて、拗ねているような彼の顔が瞬時に浮かんだ。胸がくすぐったくなって思わず笑みが浮かぶ。

その日を境に私は彼に返事を返すようになった。そんな風にゆっくり私と彼との時間が流れて行くことが、単純に嬉しかった。

再びの週末。
私は緊張の中、彼のマンションの前にいた。金曜日は残業が長引いてしまい、彼も出張だと言っていた。彼はマンションに泊って、朝、俺を出迎えて、と冗談とも本気とも思えないメッセージをくれていたけれど、私にそんなことはできるわけがなく、丁重に辞退した。

その代わり土曜日の午前中、姉に教わった方法でメイクをして、出かけた。まだまだ慣れないのでメイクに時間がかかる。
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