独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
「なんで離れる?」
拗ねたような声が頭上から降ってくる。
「ひ、人目につくと困るでしょ?」
俯いたまま答える私に、彼が身を屈めて低い声で囁く。
「全然。むしろ可愛い婚約者を見せびらかしたい」
「か、可愛くなんか!」
思わず顔を上げた私の顎を、長い彼の指が掬って強引に上向かせる。紅茶色の瞳が私の目を捕らえる。
「橙花は可愛い。俺の婚約者なんだから当たり前だろ? 信じないならここでキスするけど?」
とんでもない発言に目を剥く。彼の端正な顔がどんどん近付いてくる。
「や、やめてくださいっ!」
もう私の顔はみっともないくらいに真っ赤だ。
「じゃあ顔を上げて堂々としてろ。橙花は俺が選んだ婚約者なんだから。周りなんて気にするな」
その言い方に、彼は私が周囲の反応を気にしていたことに気づいていたのだと悟る。
何も言い返せない私に彼はクスリと口角を上げる。
「何、キスしてほしい?」
「ち、違う! も、もうレジに行くっ!」
真っ赤な顔を隠すこともできず叫ぶと、彼がやっと私の顎から指を離してくれた。その一部始終さえ周囲からの視線を感じる。
私は面白がっている彼の手を無理矢理引っ張ってレジに連れて行った。彼はそんな私を見て、相変わらずクスクスと笑っていた。
当たり前のように支払いは彼が済ませ、荷物も持ってくれていた。私が支払います、持ちます、と言う度に彼は絶対零度の冷たい瞳で私を睨む。
「橙花はこっち」
そう言って、彼は大きな手で強引に私と指を絡める。ぎゅうっと絡められた指から伝わる温かな体温に私は何も言えなくなってしまった。
拗ねたような声が頭上から降ってくる。
「ひ、人目につくと困るでしょ?」
俯いたまま答える私に、彼が身を屈めて低い声で囁く。
「全然。むしろ可愛い婚約者を見せびらかしたい」
「か、可愛くなんか!」
思わず顔を上げた私の顎を、長い彼の指が掬って強引に上向かせる。紅茶色の瞳が私の目を捕らえる。
「橙花は可愛い。俺の婚約者なんだから当たり前だろ? 信じないならここでキスするけど?」
とんでもない発言に目を剥く。彼の端正な顔がどんどん近付いてくる。
「や、やめてくださいっ!」
もう私の顔はみっともないくらいに真っ赤だ。
「じゃあ顔を上げて堂々としてろ。橙花は俺が選んだ婚約者なんだから。周りなんて気にするな」
その言い方に、彼は私が周囲の反応を気にしていたことに気づいていたのだと悟る。
何も言い返せない私に彼はクスリと口角を上げる。
「何、キスしてほしい?」
「ち、違う! も、もうレジに行くっ!」
真っ赤な顔を隠すこともできず叫ぶと、彼がやっと私の顎から指を離してくれた。その一部始終さえ周囲からの視線を感じる。
私は面白がっている彼の手を無理矢理引っ張ってレジに連れて行った。彼はそんな私を見て、相変わらずクスクスと笑っていた。
当たり前のように支払いは彼が済ませ、荷物も持ってくれていた。私が支払います、持ちます、と言う度に彼は絶対零度の冷たい瞳で私を睨む。
「橙花はこっち」
そう言って、彼は大きな手で強引に私と指を絡める。ぎゅうっと絡められた指から伝わる温かな体温に私は何も言えなくなってしまった。